最終更新日:20XX年X月X日
※在日フィリピン大使館・各総領事館の予約方式・必要書類・所要日数は変更されることがあります。申請前に必ず管轄公館の最新の公式案内をご確認ください。
彼女がすでに日本にいる(在留資格を持って暮らしている、または来日できる)なら、日本で先に結婚する「日本方式」が選択肢になります(記事2:ルートの判断基準)。
日本方式は、渡航が不要で、手続きの多くが日本語で進む分かりやすいルートです。ただし、「日本の役所に婚姻届を出して終わり」ではありません。全体は次の3ステップで、最後のステップ3を放置すると、後で必ず困ります。
Step1:在日フィリピン大使館・総領事館で
彼女の「婚姻要件具備証明書」を取得(予約制・二人で出頭)
↓
Step2:市区町村役場に婚姻届を提出(創設的届出)
→ 受理された日=婚姻成立日
↓
Step3:在日フィリピン大使館・総領事館へ婚姻報告(ROM)
→ フィリピン側の記録にも婚姻を登録(30日以内が原則)
順に見ていきます。
Step1:在日フィリピン大使館で彼女の婚姻要件具備証明書を取得
日本の役場は、フィリピン人との婚姻届の受理にあたり、彼女側の「婚姻要件具備証明書」(フィリピン政府が「この人は結婚できます」と証明する書類)を求めます。発行するのは在日フィリピン大使館(東京)・各総領事館(大阪・名古屋など)です。
押さえるべきルール
- 事前予約制です(予約方法は公館ごとに異なります。オンライン予約の公館と電話予約の公館があるため、管轄公館の案内で確認を)
- 二人そろって窓口に出頭することが申請の条件とされています
- 発行までに数週間程度かかる場合があります。婚姻届の予定日から逆算して、早めに予約を取りましょう
必要書類(一般的な例。管轄公館の最新リストで必ず確認)
彼女側:
- パスポート(原本+コピー)
- 在留カードなど日本での在留資格が分かるもの(原本+コピー)
- フィリピン外務省(DFA)認証済みのPSA発行・出生証明書(原本+コピー)
- DFA認証済みのPSA発行・CENOMAR(独身証明書)(原本+コピー)
- 証明写真(パスポートサイズ)
あなた(日本人)側:
- 戸籍謄本(3ヶ月以内発行。前婚がある方は婚姻・離婚の記載があるもの。記載がなければ改製原戸籍・除籍謄本を遡って用意)
- パスポート等の写真付き身分証明書(原本+コピー)
- 証明写真
彼女が18〜25歳の場合の追加書類
- 18〜21歳:両親の同意書(両親のパスポートコピー添付)
- 21〜25歳:両親の助言書・承諾書(同上)
- 両親がフィリピン在住の場合は現地で公証+DFA認証、日本在住の場合は在日フィリピン大使館で作成、死亡している場合はPSA発行の死亡証明書——と、両親の状況によって作り方が変わります。該当する方は最優先で段取りを
ここで効いてくる「事前準備」
お気づきのとおり、彼女側の書類はPSA書類+DFA認証が軸です。つまり日本方式でも、フィリピン側での書類準備は必ず発生します。PSA書類の取得と点検、DFA認証の日数は、記事4:PSA書類の取得完全ガイドを参考に、予約日から逆算して進めてください。
彼女に離婚歴がある場合:フィリピンには原則として離婚制度がないため、前婚の整理(外国離婚の承認=Recognition等)が済んでいないと具備証明書が出ません。該当する場合は全体計画にかかわるため、早期に専門家へ相談することをおすすめします。
Step2:市区町村役場へ婚姻届(創設的届出)
具備証明書が取得できたら、市区町村役場へ婚姻届を提出します。フィリピン先行ルートの「報告的届出」(記事7)と違い、こちらは受理によって婚姻が成立する「創設的届出」です。受理された日が、法律上の結婚記念日になります。
必要書類(一般的な例。提出先の役場に事前確認)
- 婚姻届書(成人の証人2名の署名が必要)
- 彼女の婚姻要件具備証明書+日本語訳文
- 彼女のPSA出生証明書+日本語訳文
- 彼女のパスポート
- あなたの戸籍謄本(本籍地以外の役場に出す場合)
- 本人確認書類
訳文は本人作成でも構いませんが、翻訳者名の記載と固有名詞・日付の正確性が必須です(記事7の訳文4ルール参照)。
知っておくと慌てない:「受理伺い」
渉外婚姻では、役場が書類の確認のためにその場で受理せず、法務局に照会(受理伺い)をかける場合があります。数週間かかることもありますが、書類が整っていれば過度に心配する必要はありません。婚姻届の予定がある方は、事前に役場へ書類一式を見せて相談しておくと、当日のスムーズさが違います。
受理されると、あなたの戸籍に婚姻の事実と彼女の氏名等が記載されます(彼女は戸籍に「入る」のではなく「記載される」——この仕組みと氏の扱いは記事7のセクション5で解説しています)。
Step3:フィリピン側への婚姻報告(ROM:Report of Marriage)
日本の役場で婚姻が成立しても、フィリピン側の記録にはまだ何も載っていません。在日フィリピン大使館・総領事館でROM(婚姻報告)を行い、フィリピン側にも婚姻を登録します。
期限:婚姻成立から30日以内が原則。30日を過ぎると届出遅延の供述書(Affidavit)が追加で必要になります。「婚姻届を出したらROMまでが1セット」と覚えてください。
必要書類(一般的な例。管轄公館の最新リストで必ず確認)
- ROM申請用紙(公館サイトからダウンロード。複数部の提出を求められるのが通例)
- 二人のパスポート+コピー(複数部)
- 婚姻届の記載事項証明書(役場で取得。原本+コピー複数部)
- 戸籍謄本(婚姻事項の記載があるもの)(原本+コピー複数部)
- 証明写真(二人分・複数枚)
- 返信用のレターパック等
※二人そろっての出頭が条件とされています。部数・様式は公館ごとに異なるため、必ず最新の案内で確認してください。
ROM後の流れと「時間」の話
ROMは公館からフィリピン本国(PSA)へ送られて登録されますが、PSAで婚姻記録が取得できるようになるまで、かなりの期間(数ヶ月単位)かかるのが実情です。だからこそ、30日以内のROMを先延ばしにしないことが大切です。遅れれば遅れるほど、後述のビザ手続きや彼女のパスポート更新に響きます。
4. ビザ・在留資格の手続きへの接続
日本方式の場合、彼女の状況によって次の手続きが変わります。
彼女がすでに在留資格を持って日本にいる場合
「日本人の配偶者等」への在留資格変更許可申請に進みます。婚姻の記載された戸籍謄本に加え、フィリピン側(彼女の国籍国)発行の結婚証明書の提出も原則求められます。PSAへの登録反映前の段階では、ROMの届出を証する書類等でどう扱われるか、申請前に管轄の入管(または専門家)へ確認してください。ここは日本方式特有の悩みどころです。
彼女が海外にいて呼び寄せる場合
COE(在留資格認定証明書)申請に進みます。→記事9:COE申請の全体像
5. 忘れがちな後続手続き:彼女のパスポート
婚姻後、彼女が夫姓を使いたい場合は、フィリピンのパスポートの氏名変更(更新)を検討します。ROMがPSAに登録されていることが前提になる手続きのため、ここでも「ROMを早く出しておいてよかった」が効いてきます。氏をどうするかは、日本の戸籍側の氏の扱い(記事7)とあわせて、夫婦で方針を決めておきましょう。
よくある失敗
- DFA認証(アポスティーユ)の取り忘れ——認証なしのPSA書類で予約日を迎え、出直しに。書類リストの「認証済み」の文字を見落とさないこと
- 具備証明書の発行待ちを見込まない日程——婚姻届の記念日を先に決めてしまい、発行が間に合わない。予約と発行日数から逆算を
- ROMの放置——「日本で結婚できたから一安心」で30日を超過。供述書の追加だけでなく、後々のすべてに響きます
- 戸籍の前婚記載の不足——再婚の方の改製原戸籍忘れ。記事5のフィリピン側と同じ落とし穴が、在日フィリピン大使館側でも起きます
よくある質問
Q. 彼女が短期滞在(90日)で来日中に、結婚まで間に合いますか?
A. 具備証明書の予約待ち+発行に数週間かかる場合があることを考えると、日程はかなりタイトです。来日前にPSA書類+DFA認証を済ませ、来日直後の予約を確保できるかが鍵になります。間に合わない場合のリスク(帰国してフィリピン先行に切り替える等)も含めて、事前に計画してください。
Q. 婚姻届の証人は誰でもいいですか?
A. 成人2名であれば、親族でも友人でも構いません。
Q. 日本方式なら、フィリピンでの結婚式はできないのですか?
A. 法律上の婚姻は日本で成立済みなので、フィリピンでのセレモニー(教会式・披露宴)は後日自由に挙げられます。「法律上の婚姻」と「式」は分けて考えられます(記事6)。
次のステップ
- 彼女を海外から呼び寄せる方 → 記事9:COE申請の全体像
- 書類の準備がこれからの方 → 記事4:PSA書類の取得完全ガイド
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参考(必ず最新情報を確認してください)
- 在日フィリピン大使館・各総領事館(婚姻要件具備証明書・ROMの必要書類/予約方法)
- フィリピン外務省DFA(アポスティーユ)
- 提出先の市区町村役場(婚姻届の必要書類・受理伺いの運用)
- 出入国在留管理庁(在留資格変更・COE申請の必要書類)
